国の莫大な資産を隠す官僚たち
「日本は1,000兆円を超える莫大な借金を背負っている」
というのはよく耳にする言葉だ。
この借金の話は頻繁に出てくるのに、資産の話はほとんど出てこない。
不思議な話だ。
この謎を高橋洋一教授が自身の書いた最新本の中で解りやすく説明している。
あまり知られていないが、日本の財政状態を表すバランスシートが
財務省のホームページでも公開されている。
このバランスシートを初めて作成したのが、当時財務官僚だった高橋洋一氏である。
今から20年以上前の1995年の話だ。
日本の政府が莫大な資産を持っていることが国民にわかると、
なぜ官僚は困るのか?
それを解き明かすには、資産の中身を知る必要がある。
公表されている最新のデータは2014年度のものだ。
数字をざっくりと拾い上げて主な資産を並べてみると
以下のようになる。
現金預金 約 28兆円
有価証券 約139兆円
貸付金 約138兆円
出資金 約 70兆円
有形固定資産 約180兆円
運用寄託金 約104兆円
この他の細かいものを含めて合算すると、
政府資産の総額は約680兆円ある。
貸付金と出資の大半は、特殊法人などの「政府関係機関」に対するものである。
「役人の天下り先」と言い換えればその構図が見えてくる。
つまり、官僚が天下り先を温存するためには、
これらの政府資産が容易に売却可能であることを
国民に知られては不都合なのだ。
このピカピカの国のバランスシートを見れば、
「日本は借金まみれ」「財政は破綻寸前」という
官僚がメディアを使ってプロパガンダしている言葉が
まったくの嘘だということがわかるだろう。
みなさんにも、日本政府は先進国の中でも
突出した資産を保有しているという事実を
自国経済の基礎知識として、頭の中に入れておいたほうがよい。